【徳島市 No.020】
基本情報
階 数:2階建
主要構造:木造
用 途:賃貸住宅専用
戸 数:8戸
住戸配置:I型
断面構成:片側下屋型
アクセス:片廊下型/主要採光面の反対側
その他
外部空間:駐輪場と一体化
手 摺:丸パイプ+丸鋼
階 段:外部鉄骨階段(段差あり)
屋根・軒:外廊下屋根が母屋下がり
物 干:プライベート空間
囲 障:菱形と十字のCB塀
MEMO
見どころの多いアパートである。
まず母屋を見ていこう。薄い小庇を水平に通し、妻面の小庇はL字型に回り込むなど整った水平線を強調した意匠である。屋根の破風板や鼻隠しの見附寸法も最小限に抑えられ軽やかさをみせる。外廊下の屋根を母屋下りで本体屋根と一体につくり雨仕舞いの弱点を生じさせないようにしながら、妻面は半間面落ちさせ、ギリギリのところで妻面ファサードの対称性および外壁コーナーのシャープさを保っている。先ほどのL字型に回り込む小庇の小技も、それを補強している。
外廊下を下屋で支持することにより、木賃アパートの外廊下の梁にありがちな丸鋼トラスを回避して廊下スラブの小口を水平線として表現することに成功している。
ところがである。ここまでしておいて、外階段がその水平線をぶち壊すのである。等間隔に並んだ鉄骨柱の1スパンに階段+踊場を納めたかったのかもしれない。あるいは水平線よりシンメトリーを重視したのかも知れない。叶うものならば、大工に理由を尋ねてみたいものである。
熟れた技で母屋が完成してしばらく経ってからであろう。駐輪小屋が作られ、薄い屋根で母屋と一体化して軒下空間が構成された。この繊細さに欠ける増築をみて、母屋の大工は心中いかばかりであっただろうか。尋ねてみたいものである。
最後にブロック塀のアクセントになっている穴空きブロックである。菱形の中に十字の穴が空いているものだが、こだわりを感じるのである。