2024-01-01から1年間の記事一覧
2棟のアパートが外廊下で接続された事例である。 鉄骨階段の踊り場が方杖で強引に持ち出されているのをはじめ、鉄骨工事の粗野さがアパート全体の印象を決定づけている。
かなり老朽化しているが、規則的な列柱やマッスの構成的な凹凸、無機質モノトーンなモルタル壁があいまって、どことなく共産圏の建築をおもわせるアパートである。その無機的な建築に植物が絡み、再び有機物にかえってゆく(ようにみえる)さまには、無常感…
隣接する2棟のアパートで、それぞれの階段を非常に接近させて配置したために、階段が1カ所しかないようにみえる。 奥にみえるアパートは、いかにも古びたスレート屋根やモルタル壁と、ピロティ形式が絶妙な違和感を醸し出している。
片廊下の細い柱に怯む、2棟のアパートである。 一棟は外廊下、もう一方には妻面に増築痕がみられ、場当たり的な活力を漂わせている。
【徳島市 No.003】と同じく、コの字型のテラスを持つアパートである。 かなり広くとられた共有テラス部分は特にこれといった用途があるわけでもなさそうで、なんともいえない大らかさがある。
ドーンと正面に伸びる、Y字柱に支えられた2本の階段が印象的なアパートである。
華奢で、やや雑なスチールワークが目についてしまうが、松山的要素を備えたアパートである。 構成としては北側片廊下アクセスでメイン階段が2ヶ所、主要採光面側で浴室廻りと思われる一部が出っ張る櫛形平面である。徳島市のように1階下屋のみが櫛形に出っ…
ボロボロで、プランターと不用品に囲まれ、落書きまでされている。しかし我々は、この哀しき晩年を迎えた老体に宿る、美しい魂を見逃してはならない。みればみるほど端正、モダンにして実直なる木賃アパートである。
住まうということ、つくるということの、漂白されていない生々しさが滲み出ていて魅力的である。
元来は玄関側の片側下野タイプだが、裏側にも増築の下屋もどきが取り付いたアパートである。 裏側の下野は2段階に亘って増築された痕跡があり、便利な半屋外空間として活用されている様子が窺える。
明るいアクセス空間で布団を干したり、干し柿をつくったりと伸びやかで明朗なアパートである。 階段のつけかたや片廊下下部の1階エントランス周りの造作など、意図的に定型を外しているのか、場当たり的なのか分からないが、いい味を出している。
アクセス形式に特徴があるアパートである。各階ごとに共用玄関があり、中廊下から各戸にアクセスするようである。
大家宅併設と思われるアパートである。
直交して並ぶ、双子のアパートである。
道路側は普通の古びたアパートだが、裏側は稀にみる超絶増築物件である。
住戸の奥行きが2間しかない。極細アパートである。
小さなハシゴで、いちおう2方向避難の確保されたアパートである。 下屋まわりのポリカ増築は暑そうだ。
屋根に上れるハシゴがアクセントになっているアパートであるが、そのハシゴが華奢すぎて少し心配である…。
2階の一部を出っ張らせて、2階の排水経路を取りやすくしているのだが、このような形態は水廻り設備や配管の進化によって徐々になくなっていく。木賃アパート過渡期の特徴的形態である。
変わった屋根の掛け方をしたアパートである。雨仕舞いを考えると、あまり良い屋根の掛け方とは思えないが、何を意図したのだろうか。
本事例の立地する西富田地区は下水管布設進捗率98%、結果として水洗便所普及率も55.3%に及んでいたので、早くからこのような形態のアパートを建築することが可能であった。 木賃アパートの形態に、その地域のインフラ整備史が垣間みえるのであった。
屋根、外壁、庇から囲障まで、トタン尽くしのアパートである。
ややイレギュラーな構成のアパートである。臭突が3本でているので、3戸とも汲み取り便所であろう。
玄関側だけが下屋となっているパターンである。 間口が1.5間とミニマムサイズだ。
表裏両側に下屋があり、玄関部分だけがさらに出っ張り入母屋風の屋根形状となっている。裏側は水廻りの下屋の上部に物干し台を増築したり屋根をかけたりと、かなり自由な振る舞いである。
ああ、この希少な長屋を気に掛けている人が西二軒屋町に、徳島市内に何人いるであろうか?
本事例は徳島市にみられる両側下屋型のわかりやす例である。
ほとんど同規模の住戸が集まっているのだが、下屋の出し方と切妻屋根の掛け方で変化を生み出している。特に一番手前のタイプは、妻壁が連なるような下屋の出し方や、妻面に玄関を配置して背中合わせに連棟するという珍しいタイプである。
古い鉄骨階段が老朽化したせいだろうか。理由はわからないが隣の新しいアパートの外廊下とブリッジで接続し、そちらの階段を使用している例である。
木賃アパートでは直線・直角の外形に同一住戸の反復が基本となる中、ここでは敷地形状に合わせた不整形の外廊下と斜めの階段、1・2階でドア位置や住戸数が異なるなどイレギュラーな計画がみられる。